Liceu da Bahia
2007年 04月 23日
8年前、カナダの大学の道ですごく明るいブラジルのポルトガル語を話す声を聞いて、思わず自転車を止め、話しかけてしまった人がヴィヴィーナ。彼女は初めてできたバイーアの友達で、世界で一番親しい人の一人になりました。"Pitanga!"の曲の中で話をしているのがヴィヴィーナです。
彼女は今、サルヴァドールの中心街ペロウリーニョにあるLiceu de Arte e Oficios 通称リセウで働いています。リセウは奴隷解放後、黒人の若者たちに読み書き、社会で仕事をするための教育機関として作られた古いNGOで、今でも一般教育の他、音楽、ダンス、演劇を学ぶ学校として、ファヴェーラの若者たちの希望の灯となっている場所です。ヴィヴィーナは数年前リセウの責任者の一人として抜擢されてから、イタポアからペロウリーニョへ毎日通う日々。ブラジルの根の深い社会問題と否応なく直面させられ、悩みながらも愛情深く若者たちをサポートしているヴィヴィーナ。彼女が責任者になってから卒業生のうち140人以上が大学に進学できました。そんなことは未だかつてなかったといいます。
私がリセウを訪ねた日は、ちょうど学校の入試の日でした。200人の子供たちの中から、たった20人が選ばれる試験。ダンスの入試を見学させてもらいました。
ドラムとパーカッションの生伴奏付きで、はじめは皆とても緊張した面持ち。
いろいろな動きをその場で覚えてやってみせる試験は約1時間。先生が示した動きをひょいひょいとすぐに覚えてやってみせる女の子の踊りを驚嘆しながら見つめました。
このチームの中からいったい何人受かるのだろう?バイーアの暑い日差しとカラフルな色は深刻さを感じさせないけれど、勉強したいという希望を抱いて、受験する子供たちにとって、今日という日は私には想像できないくらいの重みをもっているのでしょう。
去年リセウで演劇、音楽、ダンスの生徒たちの中から選ばれた若者たちの舞台を見ました。
歌や踊り、演劇・・・芸術を通した自己表現は人間の抑圧され眠っている様々な感情を解き放つ行為。日々の暴力、貧困の中でたくさんの感情を解き放つ術を持たず、本能的にそれを求めてリセウへやってくる子供たちの表現は、強く揺るがず、真実そのもので、魂の奥底を揺るがすような力を持っていました。しばらくショックで動けなかったのを覚えています。
by miomatsuda
| 2007-04-23 02:33
| ◆旅日記/Traveler's note