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10月の思い

10月2日から西に旅立ち、高松、大阪でライブ、平戸、大村でファドを歌って、そして有明海の多良岳のふもとの親戚のうちに立寄り、東京に帰ってすぐに、アルゼンチンの素晴らしきアーティスト、カルロス・アギーレと共演、その翌日にはジョビン曲集のレコーディングに集中したという、10月。
終わってみるとなんて詰め込んだ1ヶ月かと思いますが、どれを思い出してみても、かけがえのない体験になりました。

高松、大阪での沢田穣治さん、秋岡欧さんとの音楽はベースとバンドリンという編成で、間の中音を自由に行き来できて、癖になりそうなサウンドでした。高松はうどん、大阪はお好み焼き、小麦〜な日々でした。世界一うどんが好きな私はとっても幸せ。久しぶりに行く高松も大阪も、懐かしい人たちにあえて嬉しかった!
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(ライブの後)

平戸ではつのだたかしさんと沢田穣治さん(今度はギター)とファド。ポルトガルと460年の通商の歴史を記念したカステラサミットでの演奏でした。ポルトガルのザナッティ大使もお越しで、「ああ、君か!」とおなじみな感じ・・!つのださんがポルトガルギターを始めてくださったおかげで、ファドをファドの編成でしっかりやるということができました。これからもどんどん深めていきたいです。

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平戸は、ポルトガルにとっては日本への一番最初の門戸だったり、隠れキリシタンの人たちの拠り所だったり、本当にポルトガルと縁が深いところです。港を見下ろす丘から松浦城を見つめ、ザビエル教会の鐘の音を聴いたときは、涙が出ました。遠い海のむこうからたどり着いて、夢や希望、野心をもって集まってきた商人や宣教師たち、信仰に命をかけた人たち、倭冦に密貿易人、なんとか民を治めようとした松浦藩の人たち、いろいろな人たちが今は閑散としているこの港で交差していたのか、と思うと、ふと感慨深く、タイムスリップしていました。

長崎では、おくんちの最終日。10年前から長崎に行くたびにお世話になっていました銅座町のお店サニーサイドの椋尾さんが今回7年に一度の「南蛮船」の音楽担当をやると聞き、なんとなく行ってみようと思って行ったら、度肝を抜かれました。
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椋尾さん。
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南蛮船はポルトガルの文化と長崎・出島の祭り文化を融合させて、感動の域に達していました。子供達がポルトガルの民謡を歌ってから、「持ってこーい」のかけ声に合わせ、大きな南蛮船が一斉に曳かれているのを見て、しかも銅座の人たちがポルトガル語で「フォルサ!」(頑張れ!)と叫んでいるのをみて、しかもその場所が蘇州風の庭園だったりして、頭がくらくらしました。まさにカーニヴァルです。お祭りの底知れぬエネルギー、そして長崎の異国文化への包容力に、心底感動させられました。ずっと同じリズムを泣きながら刻み続けた子供達の表情がとてもまぶしかった・・・!
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それから大村の美しい蔭山邸でライブ。大村湾を見下ろす絶景。夜は外のお風呂から星空を見上げて歌ってました。
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そして、私の愛する有明海へ。
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親戚のうちに寄りました。携帯も県外の山村。曾おじいちゃんが建てた小さな家で、手作りの石の五右衛門風呂に入って、自然の音を聴いて過ごしました。親戚のみかんの収穫を手伝ったり。
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ずっと長い間、故郷がないような、漂流の感覚がありましたが、今回は、住んだことはないけれど、私の血に流れている故郷の記憶がある、それがここだ・・、そんなふうにあらためて思いました。季節がきたら田植えやみかん収穫を手伝いに帰ろうかな。漂流はやめられないだろうけど・・。
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 不思議にこの体験は、カルロス・アギーレの歌「故郷の記憶」とシンクロしました。
カルロス・アギーレさんは、ある方(「hiroshi」という曲にもなりました)が聴かせてくれた「クレオールの花」を聴いてとても気に入ってくれたということで、今回共演に至りました。心のひだを繊細に本質的に紡いでいく唯一無二のシンガーソングライターで、一緒に時間を過ごすだけで、優しい気持ちになる人でした。東京に帰って音合わせをして、スパイラルホールでのコンサートで"Memoria de Pueblo" 「故郷の記憶"」Los 3 Deseos de Siempre"「永遠の3つの願い」を一緒に歌うことができました。
もう一人のゲストは、バンドネオンの北村聡さん。素晴らしかったです。アギーレさんがオルケストラ・アウロラのコンサートを観て、感動してぜひ一緒にと言ったそうで、なるほど、二人はとても相通じるものがありました。音楽は人を結びます。
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パラナ川のほとりに住むアギーレさんは、水辺の哲学者、もしくは妖精のような人です。カルロスさんと出会い、音楽は生活としっかり結びついているのだと思いました。私も田舎で暮らしたい、と思ってみたり。澄んだ水が空や海や人を映し出すように、アギーレさんの音楽は何かしら人の中の大切で壊れやすいものを映し出すのかもしれません。そんなふうに、私も自分自身と向かい合うことになりました。アギーレさんの歌詞をたくさんコピーさせてもらったので、これからも機会をみつけて歌いたいな。
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さて、それから沢田穣治プロデュース、Canta Jobimのレコーディング。4人の才女カルテットとピアノ、ギター、ベース、私の歌を一気に録音しました。穣治さんがアレンジしたジョビンの名曲が形になりました!昨日、3日間のレコーディングも無事終了し、あとは2曲の歌録りを残すところとなりました。やっとほっと一息ついています。

これが、私の長年の夢だった、ということは終わってから思い出しました。ジョビンのカンソンを録音したいとずっと思っていたことも。重厚な楽団でレコーディングなんてよく考えたら初めてだし、しかも愛してやまないジョビンの曲なので、なんて幸せ者でしょう。いっぱい愛がこもっています。早く聴いてもらえる日が待ち遠しいです。発売は12月予定!

さあ、11月はあのウーゴ&ヤヒロさんとまた一緒に音楽できます!しかも、11月10日のハクジュホールは、すごいです。私にとっても、たぶん今までの集大成とひとつのゴールです。たぶんこの後もそうあり続けるでしょう・・・。それに向けて頑張ります!

それにしても今年は数えてみたらたくさんの無意識の「夢」が叶いました。そして、そのどれもが歌手として学べる機会をくれました。これからもひとつひとつ、不器用なりに向き合っていい仕事を残せるように、歌が少しでも長い間、聴いてくれる人の心に残るように、心をこめたいと思います。
と、ひときわ、感慨深い秋の夜。

.....ちなみに....何年かぶりに前髪を切りました....!
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  秋も深まり、更に精進します!
by miomatsuda | 2010-10-21 23:03 | ◆日々雑感/Notes

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