澄んだ冬空に思ったこと
2007年 12月 06日
今日の京都の空は澄み切っている。
冬の透き通った青い空を見ていると、どこまでも心が透明になるよう。喜怒哀楽の情念からも開放されて、無限の空間を思い出す。燃えたつような紅葉の木々はこころのなかにチラチラと燃える炎をつくりだす。思えば、なんてたくさんの色を見落としてきたんだろう。色とりどりの絵を心に描きたい。もっと敏感に自然の色、世界の色、人間の色を感じ取れるようになりたい、そう思った。色は音と同じなのだ。色彩豊かな歌が歌いたい。
大掃除をしていたら、ちょうど10年前に書いた高校の作文を発見。そこには「私の10年後」とあって、
「10年後、私は愛するイタリアの美しい町の大学で、歴史、語学、文化等、関心のある分野の学問を深く学び、今よりももっと鋭くとぎすまされた洞察力で、人間を、世界を観察している。・・・・10年後までに、私は様々なことを経験し、感動しているだろう。その心象を、精神から物質の世界へ送り出す能力を育んでいきたい。美しい文章や魂のこもった歌など、自己表現をし続けたいと思う。今、言えることは、「27歳の私の精神はより洗練され、心象豊かである」ということだ。」
と書いてあった。この頃はイタリアに住む夢を描いて、歌手になると思ってはいなかったけれど、人や世界と出会って感動し続けて、心象豊かな人間になりたいと思っていたようだ。10年という年月は思ったよりあっという間に経つもので、この頃、幼稚なりにも情熱を持って目指していた心象豊かな10年後の私と今の私を比べて、一瞬焦った。けれど、気付くときが成長のとき。この作文を偶然見つけたのも、「もっと頑張りなさいよ。昔から目指してきたことを思い出しなさい」という神様の導きかもしれない。勉強しなきゃ、もっともっと。
最近久しぶりに読み直しているアランの「幸福論」から。
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」
目指すは、強固な意志をもって物事を楽観視すること。毎日が楽しくなりそう!
昨日は、関西で一緒にやっている川瀬さん、やーそ、そして初共演のベースの岡野さんとリハをした。岡野さんのベースが入っただけで、私が欲しかった深い音色がくわわった。なんて安心感。「四位一体」になるまでとことんこの音の世界に浸りたい。これからのライブが本当に楽しみで、来年3月には関西でたくさんライブをしようということになった。マカフェリーギターの川瀬さんと初めてお会いしたのはまだ大学生の頃で、その頃から私に振り回されてきた(笑)らしいけれど、長年の縁が縁を呼び、川瀬さんを筆頭に、素敵な音楽仲間と一緒に歌っていられるのは、本当にありがたい。そして、美しい楽曲を歌うことはなんて幸せなことだろう!
それから、ジョアンが残してくれた編曲が、毎回のライブで生きていくんだなあと実感する。彼が書いた旋律をチェロやベースやバイオリンが奏でるごとに、なんて美しい旋律をくれたんだろう、とジョアンに感謝せずにはいられない。
やさしい太陽と冬空の澄んだ青に思いっきり笑顔をおくろう。