松田 美緒のオフィシャル・ブログ MIO MATSUDA's official blog
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一行の詩
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大好きな詩を久しぶりに読みました。

「私を束ねないで」
新川和江


わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱(ねぎ)のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽ばたき
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちている
苦い潮 ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
・(コンマ)や,(ピリオド)いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じように
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩
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by miomatsuda | 2007-01-04 15:39 | ◆日々雑感/Notes
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